東叡山寛永寺は
慈眼大師天海大僧正のよりよい国づくりへの強い願いのもと、
江戸幕府の安泰と、国すべての人々の安寧と
守護を祈祷する道場として建立された寺院です。
德川幕府直轄の道場として、
全国すべての寺院を統括するとともに、
天海大僧正の教えに従って、社会に開かれた寺院として
人々の心の支えとなっていきました。
今回の創建400周年記念事業は、
この天海大僧正の願いを更に広め、
寺院の歴史と伝統を次世代に継承するためのものです。
記念事業は寛永寺を支えてこられたすべての方々への報恩をもとに、
永く世の平穏を祈願し続けてゆくための寺院の荘厳の修復と、
地域社会とつながりを深めるさまざまな行事を通じて
心の学びと交流の場となることを目指して参ります。
手塚雄二氏(撮影:平間至)
手塚雄二画伯は、日本美術院の同人であり、また東京藝術大学名誉教授・福井県立美術館特別館長という要職にある、現代屈指の日本画家です。
寛永寺貫首・浦井正明との深い親交のなか、手塚画伯による根本中堂天井絵制作を寛永寺の創建400周年を記念した象徴となる事業として推し進めることが決定し、手塚画伯へ令和2年10月5日に制作を正式に依頼、翌年4月20日に寛永寺内でアトリエ開きの法要を行ない、制作が本格化致しました。
縦約6m横約12mの巨大な天井板に直接描画するという類まれな作品制作は、その手法を模索しながら画伯と門下の加来万周・永井健志・松下雅寿の三先生とともに今日まで進められ、「叡嶽双龍(えいがくそうりゅう)」と名づけられました。
手塚雄二氏(撮影:平間至)
制作に困難を極めたこの天井絵は日本美術史においても稀有な作例として後世に伝わっていくと思われます。
天井絵は令和6年2月から約1年をかけて画伯の回顧展に出品され、各地の百貨店・美術館を巡回します。
そして寛永寺創建400周年にあたる令和7年に画龍点睛を行うことで龍に魂が込められ完成し、根本中堂に奉納・設置されます。
400周年記念事業の一環として、令和6年2月より寛永寺根本中堂の改修工事を約10月かけて行い、天井絵を入れるにふさわしい伽藍としての整備を行います。
さらに令和元年には老朽化した寛永寺転法輪殿の修理及び補強を行ないました。また令和4年に寛永寺北側のJR擁壁の補強工事を行い、大規模地震の際の崩落による鉄道への影響を未然に防いでおります。
德川記念財団は、德川家と寛永寺との結びつきの中で、財団の創設以来さまざまな協力体制を構築しております。
また令和4年12月に、東京藝術大学と連携及び協力に関する協定を締結致しました。
また地元・台東区とは観光ボランティアの活用に関する協定を締結致しました。
寛永寺の檀家である故富永直樹先生(1913~2006)は、芸術院会員に選ばれ、文化勲章を受章された日本を代表する彫刻家のひとりで、本作品は約3mの「慈母観音像」の石膏原型です。
この観音像の本体は、太平洋戦争末期に戦死した宝塚海軍航空隊予科練習生を供養する墓所である、兵庫・淡路島の桜ヶ丘公園に安置されています。縁あって慈母観音像の石膏原型が寛永寺に奉納されたことから、寛永寺輪王殿第一会場ロビーにてお護りすることに致しました。
令和7年10月10日 (金) 予定
令和7年10月に寛永寺創建400周年慶讃記念法要を執行致します。
令和7年7月8日 (火) ~ 8月31日 (日)
令和7年の慶讃法要の前後に寛永寺創建400周年を記念して特別展を開催致します。
令和7年10月18日 (土) ・19日 (日)
令和7年10月に寛永寺創建400周年慶讃記念法要を執行致します。
寛永寺を創建した天海(てんかい)大僧正の足跡を、寛永寺貫首・浦井正明の執筆によって明らかにすることを中心に、寛永寺の魅力を伝える内容にすべく編集しているところです。