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9月のおはなし ~菊とヒガンバナ~

いよいよ秋のお彼岸、あまりに暑い夏でしたから、いくら「暑さ寒さも彼岸まで」とは言え、残暑が気になる日々が続きます。さて今回はお墓まいりの必需品「お花」についてのおはなしです。

菊は今でこそ一年中見られますし、特に墓地花にも広く使われることから季節をあまり感じないかもしれませんが、春の桜と対比されるように、本来は秋の花です。特に9月9日は「菊の節句」と呼ばれます。これは、一ケタの陽数(奇数)のなかでいちばん大きい「9」が月と日に重なる「重陽(ちょうよう)の節句」に、中国では菊酒を飲み邪気を払う行事が古来あり、それが日本に伝わって「菊の節句」と呼ばれるようになったようです。菊はその後皇室のご紋にも取り入れられるなど、季節を問わない日本を代表する花となったことは広く知られています。

一方、ヒガンバナが道ばたに目立つようになると、いよいよ秋になったという気分になってきます。ヒガンバナは秋のお彼岸の季節に咲くことからその名前がついたようですが、実はお経にも「曼殊沙華(まんじゅしゃげ)」として登場する、大変に歴史あるお花なのです。では私たち天台宗で大切にする『法華経(ほけきょう)』では、どのように曼殊沙華がえがかれるのでしょうか。お経の文言を見てみましょう。

この時、天は曼陀羅華(まんだらけ)・摩訶曼陀羅華(まかまんだらけ)・曼殊沙華(まんじゅしゃげ・摩訶曼殊沙華(まかまんじゅしゃげ)を雨ふらして、仏の上及びもろもろの大衆に散ず。 (『法華経』序品)
(お釈迦様が瞑想に入られたところで)天から曼殊沙華など4種類の花が、瞑想に入っているお釈迦様やその周りの弟子たちに雨のように降り注いだ。 

お花が天から降ってくるというとなんだかかわいらしい気がしますが、雨が降ると次第に地面が濡れていくように、お釈迦様の教えや導きが世の中に徐々に広く行き渡った証拠、という意味があります。つまり季節になると咲くヒガンバナ(曼殊沙華)は、実は今でもお釈迦様の教えがそこにあるということを、私たちに教えてくれているのです。

ちなみに法要などで僧侶がまく「散華(さんげ)」は、天から降るこれらの花を見立てたものです。

ヒガンバナに象徴されるお釈迦さまの教えは着実に根付いています