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8月のおはなし ~「山」と言えば?~

いよいよ夏休み本番、海に山にと楽しみな計画がいろいろあるのではないでしょうか。8月は「山の日」もあることから、今回のおはなしは「山」と言えば……川ではなく、わたしたち天台宗の母山である「比叡山」のご紹介です。

比叡山は京都と滋賀にまたがる山です。古来、地主神である「大山咋神(おおやまくいのかみ)」が祀られ、また奈良三輪山の神である「大己貴神(おおなむち)」が大和朝廷によって招かれ祀られるなど、伝統的に信仰されてきた場所でした。天台宗を開かれた最澄さまは平安時代が始まる直前の延暦4(785)年に、そうした山で本格的な修行を始められたのです。

その後、比叡山は日本の仏教界をリードする僧侶を次々と輩出しました。天台宗では、現在「祖師先徳讃仰大法会(そしせんどくさんごうだいほうえ)」として、円仁・源信・相応・最澄という4人の高僧を10年に亘って顕彰しています。この方々は、日本初の大師号・日本浄土教の祖・回峰行の祖・そして日本天台宗の祖と、様々な側面を持っています。こうした伝統から、浄土宗を開かれた法然上人や、浄土真宗の親鸞上人、また日蓮宗の日蓮上人に臨済宗の栄西禅師、さらに曹洞宗の道元禅師などといった、鎌倉時代以降に仏教を担った人材が比叡山で修行されたのです。

鎌倉時代に天台座主を4回も勤めた「慈円(じえん)」という僧侶がいます。和歌にも大変に通じ、多くの作品が残っています。そのひとつをご紹介いたしましょう。

世の中に 山てふ山は多かれど 山とは比叡の 御山(みやま)をぞいふ
(世間には山と名付けられた山は数多いが、単純に「山」と言ったら、それはまさに比叡山のことを指すことに他ならないのである)

このようなお山を天海大僧正は「見立て」という思想を用いて江戸に再現し、寛永寺の山号を「東叡山」、すなわち「東の比叡山」としました。暑い日々が続きますがくれぐれも熱中症にはご注意の上、東叡山寛永寺だけでなくぜひ比叡山延暦寺にもお参り下さい。

※ちなみに「山=比叡山」という意味合いは、『広辞苑』にも掲載されています。

現在の比叡山では10年をかけた根本中堂(国宝)の大改修が進んでいます