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4月のおはなし ~花まつりによせて~

4月8日は、お釈迦さまが誕生された「誕生会(たんじょうえ)」です。とはいえ、このような難しい言い方よりも「花まつり」という名称がずっと通りが良いのではないでしょうか。皆さんもお釈迦さまのお像に甘茶をかけたことがあるかと思いますが、この行事はお釈迦さまが誕生されたときに、天から不死の霊薬とされる「甘露(かんろ)」が降ったとされる故事に由来します。こうした内容は、さまざまなお経に幅広く説かれています。

さて、お釈迦さまの父親はある国の王様です。お釈迦さまの誕生前に占い師に占ってもらったところ、将来は世界中を支配する偉大な国王になるか、もしくはお悟りを開かれて「尊い人」になるだろう、と言われたほどでした。父である王様としては自分の国を大きくしたいので、お釈迦さまに後を継いで欲しいと強く願ったほどです。

こうしたお釈迦さまが誕生された時に、すぐ7歩あゆまれ「天上天下唯我独尊」とお唱えになったことはよく知られています。この言葉は「誕生偈(たんじょうげ)」として知られ、翻訳によってさまざまな解釈が伝えられていますが、ある解釈では占い師が占った「尊い人」が自分であるとの宣言、と考えられています。

しかしいくら素晴らしい自覚であっても、どうも文字だけ見てしまうとなんとなくカンジ悪く思ってしまいます。ですが、そんなことをお釈迦さまがおっしゃるでしょうか?お釈迦さまは自身が「尊い人」という強い自覚の元、お誕生の直後に自身がこれから行うべき事について次のように決意されていました。「唯我独尊」に引き続く一文を見てみましょう。

三界はみな苦にして吾れはまさにこれを安ずべし  『修行本起経』
(仏教で考えるあらゆる世界観はすべて苦にはじまる迷いに充ち満ちているが、私はそれを理解した上で、苦の世界を安らかにさせよう)

お釈迦さまが実際に出家されるのは29歳とされていますが、そのはるか前であるお誕生の時に、すでに私たちの世界にある苦を抜こう(これを「慈悲」と言います)といったお気持ちがあったことがわかります。つまり「唯我独尊」はスケールの大きな並々ならぬ決意表明の一端に他ならないのです。

新年度にあたり新たな決意表明をする季節です。花まつりにあたり、ぜひみなさんもひとつ決意をしてみてはいかがでしょうか。

甘茶には不老不死の霊薬という意味がありますのでぜひお飲み下さい。