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4月のおはなし ~慈しみのこころ~

4月8日は、お釈迦さまが誕生された「花まつり」です。皆さんもお釈迦さまのお像に甘茶をかけたことがあるのではないでしょうか。近年は暖かな冬が多く、桜が早く咲いてしまうと当日までなんとかもってくれないものか、と思うことが続いています。

ところで、お釈迦さまは何歳で出家されたかご存知ですか?諸説あるのですが、一般的には私たちの世界にある苦を抜こう(これを「慈(いつく)しみ」と言います)といったお気持ちで、29歳で出家したと言われています。こうして6年間修行され、35歳でおさとりをひらかれ、説法(後世に「お経」としてまとめられていきます)を始められました。

お釈迦さまの説法は多岐に亘ります。お釈迦さまがご生涯を閉じられたのは80歳ですので、45年間も説法をしたからです。ただし、お釈迦さまの説法は着実に受け入れられたことから、そんなに難しいものや複雑な論ではなかったようです。特に出家の動機となった「慈しみ」についてお釈迦さまが説かれた、最古とされるお経を見てみましょう。

あたかも母が、己(おの)が独(ひと)り子を命を賭(か)けても護(まも)るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみの意(こころ)を起こすべし。
また全世界に対して無量の慈しみの意(こころ)を起こすべし。
上に、下に、また横に、障害なく恨みなく敵意なき慈しみを行ずべし。
(『スッタニパータ』)

時代が下ると、人々の苦を抜く「慈しみ」に、人々を哀れみ同情して楽を与えるという「悲しみ」という考えが加わり、いわゆる「慈悲」ということばとなりました。さらに「慈悲」は仏教だけでなく広く社会にゆきわたることばになりました。なんと寛永寺のある台東区の区歌にも「大慈大悲の光を受けて 月も清かれ 隅田の流れよ」と登場するのです。

新年度にあたり、私たちは「慈悲」によって生かされていることに改めて感謝したいものです。 

「落ちない大仏」として知られる上野大仏は「釈迦如来」です